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アルミ厚板溶接の難所「歪み・強度不足」をどう防ぐ?t16mm対応のポイントと加工事例

アルミ溶接コラム

アルミの厚板溶接(主にt6.0mm〜)において、「溶け込み不足による強度不安」や「熱による製品の歪み」に頭を悩ませていませんか?一般的にアルミ板金・溶接ではt4.0mm以下が主流ですが、特殊車両の架台やブラケットでは、t6.0mm〜t12.0mm、時にはt16.0mmクラスの強度部材が求められます。

本記事では、難易度の高いアルミ厚板溶接で品質を安定させるための技術ポイント(予熱・開先・歪み取り)と、t16mmまで対応可能な岩本鉄工所の加工ノウハウ、実際の事例について解説します。

アルミ厚板溶接(t6.0mm〜)はなぜ難しいのか?

アルミニウムは鉄やステンレスに比べて熱伝導率が約3倍と高く、板厚が厚くなるほど「熱が逃げやすい」という特性があります。これにより、t6.0mmを超える領域から、薄板とは異なる難しさが顕在化します。

1. 熱伝導による「融合不良」のリスク

厚板の場合、溶接時の熱が母材全体へ急速に拡散してしまいます。十分な入熱を与えないと、溶接金属と母材が完全に溶け合わない「融合不良(溶込み不良)」が発生しやすくなります。見た目は溶接できていても、内部がつながっていないため、強度が求められる架台やフレームでは致命的な欠陥となります。

熱伝導率が高いために、熱が拡散するスピードも速く急激な冷却が進むことで、遅れ割れが発生してしまいます。後熱や、製品を伝導率が低い生地で包むことで保温することで遅れ割れを防ぎ、緩やかな温度減少を促す工夫をしています。

2. 入熱量増大に伴う「著しい歪み」

溶け込みを確保するために大電流で溶接を行うと、今度は入熱量が過大になりがちです。アルミは熱膨張係数も大きいため、局所的な加熱と冷却によって製品全体が大きく反ったり、ねじれたりする「歪み」が発生します。特にt6.0mm〜t12.0mmの厚板は、剛性と歪みのバランスをとるのが難しく、寸法精度の確保に熟練の技術を要します。

一つの工夫の例としては、穴明き定盤や特殊治具などで拘束することで反り・歪みを抑えることも工程内のVA活動の一環として行います。製品のロットにより、治工具の開発や歪み取りを後工程で入れるなどの判断も当社が行っており、ロット・品質・コストのバランスを考えた工程組みができる点も当社の特長です。

3. ブローホール(気泡)の発生

厚板溶接では溶融池が深くなりますが、アルミ表面の酸化被膜や、空気中の水分(水素)が巻き込まれると、凝固時にガスが抜けきらず「ブローホール」と呼ばれる空洞ができやすくなります。これも強度低下の主因となります。ブローホールについては目視でも確認できるものであるため、十分な品質をクリアできているか、当社で検査を行っています。

「歪み」と「強度不足」を防ぐ3つの技術ポイント

岩本鉄工所では、t6.0mm〜t12.0mmまでのアルミの厚板溶接を得意としており、さらにはt20.0mmクラスの厚板においても加工対応が可能です。以下では、当社の厚板溶接に関する工夫や加工におけるポイントを解説いたします。

1. 適切な「開先加工(ベベリング)」

厚板溶接において、母材同士を突き合わせただけでは深部まで溶け込みません。そのため、溶接前に接合部を斜めにカットする「開先加工」が必須となります。

板厚に応じてV型やX型の開先を適切に設けることで、溶接ワイヤが板の奥深くまで届き、十分な接合強度を確保することができます。

2. 徹底した「予熱」と「パス間温度管理」

板厚によっては、溶接前の母材の温度管理は歪みや反り・割れを防止するためには必要であり、t15~16mm程度の板厚となると、温度管理を徹底しています。特に、寒冷期においては、溶接時に母材の温度が急激に上昇し、先に挙げた対策を行わないと急冷してしまうため、割れや歪み・反りは発生しやすくなってしまいます。

その点を考慮した、溶接前の段取りも品質の高いアルミの厚板溶接を行うには必須の工程といえます。

3. MIG溶接・TIG溶接と、ファイバーレーザー溶接の使い分け

アルミの厚板溶接においては、当社ではMIG/TIG溶接、ファイバーレーザー溶接の3つを採用しており、製品の板厚や形状、溶接の脚長要求(指示)によって溶接手法を選定しています。下記が、各溶接手法の主な特徴です。

  • MIG溶接(半自動): ワイヤを自動送給し、高電流で深く溶け込ませることが可能です。t6.0mm以上の厚板や、長い溶接距離が必要なフレーム・架台製作において、強度と能率を両立させるために主に使用します。
  • TIG溶接: 精密な入熱制御が可能です。仕上げの美しさが求められる箇所や、板厚が薄い箇所の溶接、補修などで使い分けます。

MIG・TIG溶接は入熱から最初の溶け込みまでに時間を要し、溶け込みが始まると急激に進むため、入熱から溶け込みまでの匙加減が難しい溶接方法です。

  • ファイバーレーザー溶接:入熱の制御がTIG溶接よりもさらに容易で、外観品質(溶接ビートの形状)がきれいに仕上がる。

ファイバーレーザー溶接があればアルミの溶接が簡単にできるわけではないものの、美観や溶接速度、溶け込み量の調整も踏まえると、ファイバーレーザー溶接がもっとも相性の良い溶接方法であるといえます。ただし、大きな脚長が要求される場合には、ファイバーレーザー溶接の優位性がなくなり、MIG・TIG溶接が適切な溶接方法といえます。

岩本鉄工所が選ばれる理由:t16mm対応の技術力

私たちは、汎用的な薄板板金だけでなく、特装車向けの「厚板(t6.0〜16.0mm)」の加工を得意としています。

厚板(t6〜12mm)の量産・リピートに強い

厚板t6.0mm〜16.0mmの領域において、レーザー切断から曲げ、溶接まで社内で一貫対応できるのが強みです。複数のサプライヤーを回る横持ちコストを削減し、ブラケットやステー、カバー、架台などの構造部品を短納期で製作します。

t16mmまで対応可能な「歪み取り」ノウハウ

「t16mmが溶接できる」ということは、それ以下の板厚(t6mm, t9mm, t12mmなど)においても余裕を持った品質管理ができることを意味します。

大型定盤を用いた強固な拘束(治具固定)や、溶接順序の工夫(対角に溶接するなど)、逆歪み法の適用により、溶接後の歪みを最小限に抑えます。また、発生した歪みに対しても、機械的な歪み取りを行い、図面通りの寸法に仕上げます。

アルミ厚板溶接・板金加工の事例

株式会社岩本鉄工所で実際に手がけた、アルミ厚板・構造物の加工事例をご紹介します。

【事例:アルミ製 架台フレーム】

  • 加工内容: アルミ形材とt9.0mm等のアルミ板を組み合わせた架台フレーム。強度を確保しつつ、軽量化を実現。
  • ポイント: 溶接による熱変形を抑えるため、専用治具を用いて拘束溶接を実施。

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【事例:産業機械用 ブラケット・ステー】

  • 加工内容: t6.0mm〜t12.0mmの厚板を使用した構造部品。レーザー切断、曲げ、MIG溶接による一貫生産。
  • ポイント: 負荷がかかる部位のため、開先を取りしっかりと溶け込ませて強度を確保。

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よくある質問(FAQ)

Q. 対応可能なアルミの板厚は何mmまでですか?

A. 一般的なアルミ板金加工(切断・曲げ・溶接)としては、t1.0mm〜t12.0mm程度まで対応可能です。t6.0mm〜t10.0mm前後のブラケットや架台製作の実績が豊富です。それ以上の厚みや特殊な形状についても、協力工場との連携含めご提案可能ですので、まずはご相談ください。

Q. 溶接後の歪み取りや機械加工まで依頼できますか?

A. はい、可能です。溶接工程での歪み抑制はもちろん、溶接後の歪み取り作業を行い、必要な平面度・寸法精度を出した状態で納品いたします。

Q. どのような業界の実績がありますか?

A. 特殊車両のフレーム・架台・カバーなど、強度と外観品質の両立が求められる分野で多数の実績がございます。

まとめ:アルミ厚板の溶接なら岩本鉄工所へ

アルミの厚板溶接(t6.0mm〜t12.0mm)は、薄板とは異なる熱管理と設備、そして職人の技術が必要です。岩本鉄工所では、豊富な実績とノウハウに基づき、歪みが少なく強度の高いアルミ溶接構造物を提供します。

「今の業者では厚板の溶接不良が多い」「t10mm前後のアルミ溶接・板金を一貫して頼める先を探している」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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