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アルミ中厚板(t8〜t16mm)溶接の難所と対策|強度不足・歪み・割れを防ぐプロセス管理のポイントと加工事例

アルミ中厚板(t8mm以上)の溶接は、薄板以上に難易度が高く、対応できる加工会社が非常に限られています。「アルミ中厚板溶接を頼める会社が見つからない」というご相談を多くいただく理由がここにあります。本記事では、t16mmまでのアルミ中厚板溶接に対応してきた岩本鉄工所が、中厚板溶接特有の難所と具体的な対策プロセスを解説します。

・アルミ中厚板溶接が特に難しい理由(薄板との違い)
・強度不足・歪み・割れを防ぐための前処理・施工・検査プロセス
・岩本鉄工所のt16mm対応実績事例

アルミ中厚板溶接が特に難しい理由

① 多層盛り溶接が必要になり、層間管理が複雑

t8mm以上になると1パス(1回の溶接)では溶け込みが不十分になるため、複数回に分けて盛り上げる「多層盛り溶接」が必要です。各層の溶接後に清掃・確認を行い、前層との融合不良がないことを確認してから次の層を溶接します。この層間管理の手間と難度が、中厚板溶接のコストと難易度を大幅に上げます。

② 残留応力・溶接割れのリスクが高まる

厚板になるほど溶接時の拘束力が大きく、冷却過程で残留応力が高くなります。この残留応力が降伏点を超えると、溶接割れ(ホットクラック・コールドクラック)が発生します。特にA6000系・A7000系アルミ合金は割れやすいため、材質に応じた溶接条件・予熱の設定が不可欠です。

③ 溶接変形(角変形・縦収縮)が大きく寸法管理が難しい

厚板は薄板に比べて溶接変形(特に角変形)が大きくなります。t16mmの厚板を全周溶接すると、適切な管理なしでは数mmの角変形が生じることもあります。構造物全体の寸法精度を保つためには、変形を予め計算した上で逆変形(溶接前に意図的に傾ける)を施す必要があります。

岩本鉄工所の厚板溶接対策プロセス

Step1. 開先設計と前処理

厚板の溶接では、開先(溶接部の形状)の設計が品質を大きく左右します。V開先・X開先・J開先など、板厚・溶接工法・強度要件に合わせた開先を設計します。溶接前に酸化被膜をしっかり除去し、母材を乾燥させます。

Step2. 予熱処理

t12mm以上の場合、溶接前の予熱(70〜120℃)を行います。予熱により熱衝撃を緩和し、水素の排出を促進してブローホールを防ぎます。予熱温度が低すぎると割れが発生し、高すぎると歪みが増えるため、温度管理が重要です。

Step3. 多層盛り溶接と層間清掃

各層の溶接後、スラグや酸化物をワイヤーブラシで完全に除去してから次の層を溶接します。この層間清掃を怠ると、前層との融合不良(オーバーラップ)が発生し、溶接部の強度が著しく低下します。

Step4. 後熱処理と検査

溶接完了後、後熱処理(100〜150℃、保持30〜60分)を行い残留応力を緩和します。その後、外観検査・寸法検査を実施し、必要に応じてPT(浸透探傷)による非破壊検査を行います。

実績事例(t16mm対応) 製品:特殊車両用アルミ製構造フレーム 板厚:t16mm(A5052) 寸法:900mm×400mm×200mm  課題:t16mmのアルミ厚板を全周溶接し±1.0mm以内の寸法精度が必要な案件。  対応:X開先設計、予熱100℃、4層盛り溶接、各層間清掃徹底、後熱130℃30分処理。  結果:最大歪み量0.8mm以内で納品。現在量産中。

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